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Silentdays

予感

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昨日は、「花闇」(皆川博子)を読了。
幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎役者、澤村田之助。
影として仕える、市川三すじの目線から語られる歌舞伎の世界は
艶やかで、華やかな一方、様々な欲望が渦巻き・・・。
田之助が名女形として、その地位を不動のものとした時、原因不明の病で
片足を切断しなくてはならなくなってしまいます。
それでも舞台に立つのですが、その後、更に片足、そして両腕と病は広がり・・・。
壮絶な田之助の生き様、それを見つめる三すじ、そして流れていく激動の時代。
余りに美しい田之助に対する、三すじの心の揺れが絶妙に描かれていて、
あっという間に読み終えてしまいました。
読後は、魂が抜かれたようにぼーっとしてしまう、そんな小説でした。
by tetsushi.s | 2009-03-18 23:44